優しいキスの後に、大丈夫かと気遣う声がした。
手で巧みに導かれただけなのだから、元よりどうと云う事はない。
上にいる男は情事の最中とは思えないほど静かな面持ちで、それが少し腹立たしいくらいなものだ。
そいつの股間に手を伸ばし、欲しがっているのが自分だけではないのを確認する。
所詮、男なんてこんなもの。
涼しい顔をしていても、求める快楽は同じ。
「これからだ。 今度は俺がしてやるよ」
始めはゆっくりと優しく、最後は乱暴なくらいに抜いてやる。
熱い情が掌に溢れた。
「気持ち、いい?」
耳にかかる息の甘さに背中が震える。
体を這う舌に痺れる。
もっと欲しい。
もっと、もっと先へ――
そんな穏やかなオーラルセックスじゃ足りない。
俺が欲しいのは、能書きのいらない即物的な快感。
「スキン、着けろよ…… 」
あの充足感は、男でしかない男には判らないだろう。
自分だけが、おやつの菓子を一つ多くもらった気分だ。
2007.05.21