ミッションの為にガンダムに乗り込むマイスターの顔は、どれも皆一様に美しい。
精神の高揚とある種の緊張感が、更にそれを完璧なものへと近付ける。
では、帰艦した時はどうだろう。
達成による興奮と冷めない熱。
僅かばかりの倦怠に、悔恨の色が入り混じって見えるのは錯覚か?
少なくとも、いま目の前にいるティエリア・アーデには――
「では明日、ラグランジュポイントL2から…… 」言い掛けて、彼は手元の端末から顔を上げた。
――ティエリアに、ミッション前後の相違は見られない。
「何か?」
ほら今だって、レンズの奥で眇められた眼は怜悧なままだ。
「いえ、なんでもないわ。 その場での細かい判断は、貴方に任せます」
「何故ですか?」
「私だって、100%予測できる訳じゃないのよ。臨機応変に対応して貰わなければならない事だって……」
彼の細く長い指が、ディスプレイをシャットダウンする。
「ならば、好きにやらせて頂きます」
CBのメンバーに、何を思って行動しているのか問うのは無意味だ。
それでも、ティエリアには聞いてみたくなる時がある。