忍者ブログ

E + L

『すき。だからすき』 『東京BABYLON』 『X』 『ガンダム00』 等のよろず二次創作倉庫です。

[PR]

×

[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。

A for A

00
ビリ×グラ  ビリーからグラハムへ






 グラハムの感情が足音に還元され、僕のいるMSドックの監督室に向けて高く響いて来る。

――なんとしてもフラッグでガンダムを倒す、と彼は言った。
 上官の意向に逆らって新たな配属を断るなど、軍属としては有るまじき行為だ。
 それ故、湧き上がって来る焦りに彼自身が苛立ち、その苛立ちを他人に悟られたくないと言うプライドが、
誇り高いグラハムをじくじくと苛む。

 そうしてコントロール不能に陥った果てに、僕の元へとやって来るエースパイロット、グラハム・エーカー。
「カタギリ」
 部屋に足を踏み入れるなり、碧の瞳が一刻の猶予もないと訴える。
 彼は許せないのだろう。得体の知れない私設武装集団によって、護るべき国土を蹂躙され、愛すべき同胞を失った事が。
「もっと速く、強いフラッグを! 私に掛かる負荷など考える必要はない」
 まるで子供のような言い草に、僕はいつも笑ってしまいそうになる。
「そうは言ってもねぇ。 パイロットが本当に潰れてしまっては、MSは動かないよ」
「頼む、君にしか出来ないのだ。 最高のフラッグを私に」
 勿論だと宥めるように頷いて、機体を見下ろす窓の傍へと促してやる。
「突貫作業でやっている」
 今の僕が君に進呈できる、最善にして最高のMSだ。

「私は我慢弱い」
 そう言いながら、己を強く鼓舞し続ける君。
「知っているよ」
 君が、誰よりも死を身近に感じとっている事を。

 僕にだって譲れないものがあるんだ、グラハム。
 闘いの中にあっても、君には君でいて欲しい。
 だから僕は、決して堕ちる事のない機体を作ろう。






2008.3.17

拍手

PR

サイト内検索

メールフォーム

管理人

HN:
月代 薫
性別:
女性
趣味:
読んだり書いたり

TemplateDesign by KARMA7

忍者ブログ [PR]