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『すき。だからすき』 『東京BABYLON』 『X』 『ガンダム00』 等のよろず二次創作倉庫です。

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3話直後  帰艦したティエリア フェルトの片思いとスメラギさん

 後になって、フェルトがこんな性格じゃなかった事が判明して青くなっております。 設定分からずに書くって恐ろしい!





 ヴァーチェが帰艦して、フェルトはちょっと落ち着かないような気分になっている。

 彼女は辛辣な口を利くティエリアが苦手だ。彼の言動には間違いや齟齬は微塵も見られず、他者の言い訳を許さない。戦いの場に身を置いているのだから、それが当たり前なのだろうけれど……
 例えばロックオンやアレルヤの半分くらいでも、優しい言葉を掛けてくれたらいいのにと思う。

 しかしどんなに苦手でも、スメラギさんの視線の先にあるモニタを覗きたい。 そこには、まだモビルスーツハンガーにいるティエリアが映っている筈だ。

「あのう……」
 我慢しきれず、スメラギさんに声を掛けて隣に並ぶ。
 運良くティエリアはコックピットから体を蹴り出したところで、数メートル先のキャットウォークデッキに向け、しなやかに上昇してくる彼の姿を見る事が出来た。

 我知らず、はぁっ、と溜め息が洩れた。
「なぁに?」
「……いえ、なんでもありません」
「そうは見えないけど?」
「………」
「さて、行くかぁ」
「さっき、フラれたのでは?」
 スメラギさんはさっき、ミッションの成功を理由に「祝杯をあげましょう」と彼を誘っていた。勿論、初めからそれは断られるのが分かった上でだ。

 彼女はティエリアのそっけない態度に落胆を感じる事はないのだろうか?
 寧ろ、冷たい彼の対応を楽しんでいるようにさえ見える。
「まぁ! フラれたのはお酒よ。 私じゃないわ。  それより悪いけど、ブリーフィングルームにさっきのデータを送ってくれる?」
「今すぐに会議ですか?」
「ティエリアが地上から帰って来て、簡単に我々を解放してくれると思わない方がいいわよ」
「は、ぁ…… そうです、ね」
 モニタのティエリアはエアハッチを抜け、既にヘルメットを脱いでいる。
「ほら急いで。 CBイチの完璧主義者が来るわよ」



 二人が忙しなく準備をして廊下に出ると、ティエリアが移動用グリップに掴まってこちらに来るところだった。
 スメラギさんの「おかえりなさい」と、ティエリアの「報告書を見せて下さい」という言葉が宙でぶつかる。
「刹那が来たのは俺がリニアに乗る直前でした。 あれだけ遅刻するという事は、何か問題があったのでしょう?」
「まぁまぁ、お茶でも飲みながらゆっくり話しましょうよ。 ねぇ、フェルト」
「えっ…… ええっ?」
 急に名前を呼ばれたフェルトは、驚いてバランスを崩し浮き上がった。
 すぐにティエリアの手が伸びて来て、態勢を立て直してくれる。
「ありが、とう」
 彼はそれには応えず、ヘルメットと共に持っていた薄い箱を彼女の手に押し付けた。
「クリスティナと君に」
「あらあら珍しい。 お土産? 私には?」
「スメラギさんのお酒はロックオンが買ってきます。  それにこれは俺じゃなくて、アレルヤからデッキの女の子達にチョコレート」
「んまぁ! 私だって女の子よぉ」
「俺はジョークが聞きたいのではありません。 早く刹那の報告書を」
 ティエリアは身を翻し、ブリーフィングルームのある下階層への通路を頭から降りて行く。
「ちよっ…… 待ちなさい。 それはどういう意味よ!」
 スメラギさんが後を追い、フェルトはその場にひとり残された。
「ありがとう」と下へ向かって言うと、「礼ならアレルヤに」とだけ返って来た。


 クリスティナにチョコレートを渡す為、フェルトは一旦デッキに戻ることにした。
「これ、アレルヤからだって」
「何、お土産?」
「うん、ティエリアが持って来てくれた……」
「あっ、チョコでしょ!?  アレルヤに頼んでおいたの。 彼ってちょっと変わってるけど、優しいよね」
 フェルトは自分の頬が熱くなって来るのを感じ、慌てて俯いた。
「ん?」
「え、えっと…… わ、私も行かなくっちゃ。 じゃあね」
「後で一緒に食べようね」というクリスティナの声に背を向け、デッキを出る。

 火照った顔のままブリーフィングルームに行く訳にはいかない。
 でも、遅くなるとティエリアは怒るだろう。

 だからフェルトは、彼が苦手なのだ。








2007.10.28

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